公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

審査会

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剣道七段審査会(岩手)

開催日:
2014年08月16日(土)
会場名:
花巻市総合体育館 ANNEX(第3アリーナ)
受審者数 合格者数 合格率 形再受審
584 68 11.6% 1

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審査員の寸評(実技)

 七・六段審査が東日本大震災の被災地、岩手県花巻市において、8月16、17日に行われました。審査において特に感じたことを述べたいと思います。

 六段以上の実技審査は五段までの着眼点に加え、理合、風格、品位を有しているか否かを総合的に判断し、審査が行われます。

礼法について
 着装は元より、立礼から蹲踞、構え、そして終礼まで、基本となる日本剣道形に準じた立ち居振る舞いが自然とできていることです。日頃の修錬の中で所作を疎かにしないようにしたいものです。

構えについて
 蹲踞から先の気合で立ち上がった時、正しく、強く、崩れない上虚下実の姿勢を基盤にした正しい中段の構えができていることが望まれます。正しい中段の構えは、何時でも相手を攻撃でき、また相手の打突に対応できる攻防一致の身構え、気構えです。審査の中で足の踏み方が広く左踵の上がりすぎや居つき、竹刀の握り方が悪い方を散見しました。日頃の修錬の中で矯正すべきです。

打突について
 打突意識が強すぎたのか、蹲踞から立ち上がるとすぐに交剣の間に入る、技を出す、しかも手打ちの傾向が多いと感じました。「打つ」と「当てる」の違いを理解し、手の内の冴えのある打突、連続技や鎬を使った返し技、応じ技等も研鑽されると良いと思います。立合いはまず位取り、剣先の攻防、気で攻め理で打つ剣道を心がけたいものです。

 女性の受審者に一言。男性相手との立合いにおいては、しかけ技は若干無理があるので、女性特有の拍子としなやかな体さばきによる理に適った技を工夫することをお勧めします。

終わりに
 剣道の修錬は基本、応用の繰り返しです。段位には修業年限や付与基準が定められていますが、高段の受審者にはより高度な、理に適った技量が求められています。師と仰ぐ上位者のご指導を受けられ、なお一層のご精進をご祈念申し上げます。 

中山 峯雄

審査員の寸評(剣道形)

 岩手県で実施された七・六段審査会で日本剣道形の審査を担当しました。他の審査員のご意見、ご指摘を含めて感想を申し上げます。

 各段位で1名の不合格者が出ました。大変残念に思います。合格者であっても満点の方は少なかったと思います。指摘された顕著なものは次のようなことです。分かっていることとできることは違いますので、是非再検討をして、より確かなものを身につけるように願います。

①上座下座の認識がない。小太刀は下座に置く。
②間合の使い分けができていない。横手交差と一足一刀の間合の使い分けをする。
③打ちが小さく物打が約束の部位に届いていない(太刀の形一、二、五、六本目)。
④太刀の形三、四、七本目の突き、突き返しが約束に従っていない。
⑤打突、残心時の左足の引き付けが不十分である。等々です。

 「形のスケールは、稽古と軌を一にし、その実力は形も稽古も同じである」といわれております。剣道の深さがそのまま剣道形の深さにつながるものでなければなりません。現在の剣道は当てて勝つことに主眼が置かれ、基礎基本である剣道形が軽視される傾向にあります。改めなければなりません。日本剣道形は形の効用を十分考慮して竹刀剣道の模範となるよう世に出されたもので、その中に内蔵された精神や原理・理合、伝統的な礼儀作法はすべて竹刀剣道に活用できるものであり、全剣連が審査に取り入れているのも実にここにあると思います。

 昇段に満足することなく、自己の剣道を大成するためにも、『日本剣道形解説書』、『剣道講習会資料』を熟読玩味し、普段の稽古の中にこれを取り入れ実践躬行して上級者にふさわしい品位風格のある剣道人を目指して欲しいと思います。

遠藤 勝雄
*この記事は、月刊「剣窓」2014年10月号の記事を再掲載しています。

行事概要

行事名
剣道七段審査会(岩手)
開催日
2014年08月16日(土)
会場名
花巻市総合体育館 ANNEX(第3アリーナ)
〒025-0066 岩手県花巻市松園町50
JR花巻駅より徒歩30分(2.6km)JR花巻駅4番バスのりばから「松園町行き」で「松園町」または「花巻東高等学校前」下車
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