公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

審査会

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剣道六段審査会(愛知)

開催日:
2025年05月11日(日)
会場名:
名古屋市枇杷島スポーツセンター

審査会結果

受審者数 合格者数 合格率 再受審者数
618 187 30.3% 1

合格者氏名一覧

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審査員の寸評(実技)

 令和7年5月10日(土)・11日(日)、名古屋市枇杷島スポーツセンターにおいて、標記審査会が実施されました。当日に審査員研修会が開催され、最初に過日お亡くなりになった髙橋俊昭称号・段位委員長の御冥福を祈り、黙祷を捧げました。その後、真砂 威副会長より挨拶と審査における諸注意をいただきました。

 今回の審査結果は、七段は受審者759名で合格者が175名、23.1%の合格率です。六段は受審者618名で合格者187名、30.3%の合格率でした。七・六段とも最近の合格率からやや低くなっています。

 私が担当した第一会場での感想を申し上げます。

 現在、高齢者から審査が始まりますが、高齢者は手と足が揃わない打ちが目立ちます。年齢に関係なく気剣体の一致は必要です。年齢と共に足が衰え、一足一刀の間合が近くなるのは当然です。十分攻め込んで打突するか、相手の仕掛けを利用して応じるか、一瞬早く打てるよう稽古して下さい。

 全体的には総じて打ち出すのが早いです。相手の状況を読まずに仕掛ける方が多く、皆さん失敗しています。相手を尊重してちゃんと向き合い、相手の状況を読むことにより、相手の無理・無駄・無法を咎めることができるのです。

 相手を攻めろ、と言いますが、「攻める」とは打つことではありません。相手の状況を読むための行動を言うのです。

 また、攻めたら打つ、ではありません。こちらの攻めに対する相手の状況等を的確に判断し、行動すべきです。普段の稽古が、相手を捉えることなく仕掛けているのだと思いますが、それでは相手を打てません。まずは「動いたら打つぞ」と捉えにいき、相手を固めて打つ。出てくればその起こりを打つ。嫌がっていればさらに攻め込んで打つ。この捉えに行くことが攻めることに繋がるのです。まずは自分の攻め方を確認し相手を読んで稽古をしてください。

 「攻め」を勘違いしていませんか。いつでも打てるように自分を整え、気合を十分入れる。この状態を作り相手と対峙する。これは誰もがやらなければならない心構え・身構えで「攻め」ではありません。更にどう攻めるか、を研鑽しなければなりません。

 打てば合格する、と思っていませんか。確かに打たなければ合格しないでしょう。しかし、実力者同士が立合った場合、そう簡単に決まりません。審査員は立合いの内容で力量を判断します。打ったから合格ではありません。過去に一組4人全員が合格したこともあります。相手の鋭い打突に動じることなく構えを崩さない、そういうところも観ています。

 僅かな時間の中で、いかに自分の剣道を評価してもらうか、ですから打ち気が強くなるのは仕方ありませんが、「打ち気」は「攻め」ではありません。余裕を持てないと相手の打ちに乱されてしまいます。「如何に心気を整え、立ち向かうか」が大切で意識すべきところです。

 今回見事に合格された方々、おめでとうございます。その段に相応しい風格を身につけ、さらに高い段位を目指して下さい。

 残念ながら不合格であった皆さん、ご師匠の指導アドバイスを受け、次回こそ合格して下さい。この寸評が、少しでもお役に立てれば幸いです。

宮原 昇治

審査員の寸評(剣道形)

 令和7年5月10日(土)・11日(日)、名古屋市枇杷島スポーツセンターで標記審査会が行われました。審査会では剣道形審査を担当しましたので、感じたことを述べます。先ずは、合格された皆さま方おめでとうございました。合格されてからが大切です、更なる精進を祈ります。

 日本剣道形は、先人が叡智を傾け、鋭意調査協議を重ねて制定した、我が国の伝統文化です。この伝統文化である日本剣道形を正しく継承し、次代に伝えることは深い意義があり、剣道人としての義務である。修錬の目的は、剣道形の修錬を通じて、剣道の原点である剣の理法を学び、剣道の正しい普及発展に役立てることである。原点とは、「刀法の原理」「攻防の理合」「作法の規範」である。『日本剣道形解説書』・『剣道講習会資料』の日本剣道形補足説明を、熟読修錬されていない陥りやすい点がありました。

(一)五つの構えで特に、八相の構え・脇構え(左半身)、小太刀半身の構え(左肩を引く、剣先の高さ・位置)を正しく。

(二)太刀の形は「機を見て」小太刀の形は、「入り身になろうとするところ」を打つ理合が適切ではない。打太刀(師の位)、仕太刀(弟子の位)、打太刀が仕太刀に勝つ機会を教えているもので、仕太刀が十分になったところを見て打つ。「打つ」とは「切る」という意味であるが、理解されていない。

(三)各本の技・理合(抜き・萎やし・位詰・返し・摺り上げ・受け流し)が正しく行われていない。

(四)打太刀は打突部位を正しく打突し、仕太刀は、物打ちで打突部位を確実に打突する気迫が大切で、仕太刀は打突後、十分な気位で残心を示す。打突の時も後ろの足を移動させる。

 以上です。『日本剣道形解説書』・『剣道講習会資料』を熟読精通して反復修錬し、理合・風格・品位のある剣道形、剣道を目指して戴きたい。健康に留意され、ますますのご活躍を祈り寸評と致します。

中田 琇士
*この記事は、月刊「剣窓」2025年7月号の記事を再掲載しています。

行事概要

行事名
剣道六段審査会(愛知)
開催日
2025年05月11日(日)
会場名
名古屋市枇杷島スポーツセンター
〒451-0053 愛知県名古屋市西区枇杷島1-1-2
(1)名鉄 名古屋本線 栄生駅 徒歩10分、又は東枇杷島駅下車 徒歩5分(2)市バス (名古屋駅)5番のりば発 名駅11系統(名古屋駅ー名古屋駅)「枇杷島スポーツセンター」下車
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