
審査会
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剣道六段審査会(京都)
- 開催日:
- 2025年04月29日(火)
- 会場名:
- 京都市体育館
審査会結果
審査員の寸評(実技)
令和7年4月29日(六段)・30日(七段)京都審査会が「審査員相互間で認識の統一が図られ」実施されました。見事六・七段に合格されました皆様、誠におめでとうございます。一方、今回残念ながら思いが叶わなかった皆様には更なる修錬に努めていただきたく、参考までに所感を述べさせて頂きます。私は六段・第四会場、七段・第二会場を担当させて頂きました。
特に、不合格になられた受審者には共通して、『無駄・無理打ちが多い』『技の強度と冴えがない』等が散見されました。
剣道には、攻め・崩し・打ち切るという手順があります。日頃の稽古では、そのことを意識して稽古を積まれる必要があると感じました。まずは、土台となる素振り・切り返し・打ち込み稽古を励行することです。素振りは一人で行えますので、空き時間を利用して毎日続けることが大切です。とかく大人の稽古は互格稽古になりがちです。互格稽古のみでは鋭い攻めや技のキレは身につきません。どうか互格稽古の前に必ず切り返し、打ち込みを行い、手の内の冴えを身につける事が必要かと強く感じました。
次に、「段位審査実施要領・段位審査方法」に、六段以上の着眼点は、五段までの審査に加えて、『①理合、②風格・品位、更には高度な技倆を総合的に判断し、当該段位相当の実力があるか否かを審査する』とあります。要するに、高段者にはそれぞれ段位にふさわしい剣道修錬の理想像が求められているのです。特に「風格・品位」は大きなポイントになると思います。その「風格・品位」が表れるのが立ち姿と構えです。
構えはその人の剣道観が表れるもので、手の内・足構え・捌き方・姿勢の保ち方などが無理無駄のない動きで出来るように、自然に備わったものでなければなりません。これは一朝一夕に身に付くものではなく、常日頃のたゆまない修行の結果から生ずるものです。
今一度、充実した気勢、正しい姿勢で技を練ると共に残心等心掛けて頂き、これまで『剣窓』において掲載されている多くの先生方からの寸評も参考にされ、立合い以外の礼法・所作・着装などの要素も審査対象となると心得て、平素の稽古に取り組まれ、更なる精進を祈念いたします。
審査員の寸評(剣道形)
令和7年4月29日・30日に京都で行われた七・六段審査会で、剣道形の審査を担当して感じた点を述べます。
皆さん受審態度は真剣で立派でしたが、内容につきましては理合を理解せず、ただ動作と順序を間違いなく演じた受審者が多く見受けられたのは残念に思います。
各種大会で、最初に剣道形が披露されておりますが、これは形が剣道の原点であるからです。
形は単に技の修錬ではなく剣道理念の剣の理法を習得することができるのです。剣とは日本刀であり剣道の土台であります。剣道形修錬には、体を守る剣道具を着けず、素面素小手で刀の代用である木刀を使用して行ないますが、これは剣味・気迫が大切で、これにより心胆を練り不動心を養うことができるからです。剣道形制定時、原案を作成した主査5人のうちの一人である高野佐三郎範士の著『剣道』に、「形に重んずべきは単に其動作のみならず実に其精神にして気合充実せず精神慎重を欠かば如何に之を軽妙に演ずるとも一の舞踊体操に過ぎざるのみ」と記されております
形修錬で大切なのは、打太刀・仕太刀共に常に先の気位をもって行い、間合に接するや気争いをし、仕太刀これに勝って技を出させ勝つもので、先の気位と気争いの修錬を積み重ねることが重要です。また打太刀は機を見て一刀両断の気迫をもって打突(打つは切るの意)し、これに対し仕太刀は体を捌いて応ずると同時に一拍子で打突する。各本を一息で実施することにより呼吸法をも体得することが出来るのです。
昭和の剣聖持田盛二先生の遺訓に、「剣道は50歳までは基礎を一所懸命勉強して自分のものとしなくてはならない(中略)。私は剣道の基礎を体で覚えるのに50年かかった」とあり、剣道形も動作を覚え理合を知っただけではだめで、理に則って修錬を積み重ねることにより自得することが出来、これが正しい竹刀剣道の土台となるものと思います。
形は打太刀・仕太刀の二人で行いますが、相手を想定しての一人稽古もできますのでお勧めします。
終わりに日本剣道形を正しく修錬し心胆を練り、風格・品位を高め日本伝剣道を正しく伝承していって頂きたい。今後のご活躍を祈念致します。
行事概要
- 行事名
- 剣道六段審査会(京都)
- 開催日
- 2025年04月29日(火)
- 会場名
-
京都市体育館
〒615-0864 京都市右京区西京極新明町1
阪急電鉄「西京極駅」下車 約150メートル 市バス「西京極運動公園前」下車 徒歩1分