図書
『令和版剣道百家箴』
「師に恵まれ、先輩・友に支えられて」
剣道範士 神谷 明文(兵庫県)
今にして思えば何と贅沢なことか。素晴らしい多くの師の下で、師の尊い教えに導かれ、且つ良き先輩・友に支えられて今日の自分があり、感謝の日々です。そのごく一端に触れさせて頂きます。
1,「鞍馬山登りつめれば何も無し、天狗の鼻が邪魔になる」と道場の黒板に書かれ、生意気盛り30歳前後の私達を黙って諭して下さった、会社剣道部師範であられた長谷川 寿先生(当時範士九段)。武道専門学校で学ばれたとのこの教え、剣道だけでなく日常生活、会社生活でふとした時に頭をよぎり、お陰でその都度「我を正す」ことが出来ました。
2,剣道は「切り返し、掛かり稽古、体当たり」そして「真っ直ぐな技、面が一番」と、面を打って行って負けても、良く面に出たと(訳がわからないまま)褒められ、勝負は上(高校、大学等)に行ってやれ(覚えろ)と、中学校時代の恩師の安藤 博国先生(当時教士七段)。国士館専門学校仕込みの基本や技を繰り返し丁寧に教えて頂き、その後、剣道を続けていく過程や、自分が後輩を指導する立場になって、その大切さ、有難さがわかり、一生の財産となっています。
3,会社生活45歳のとき大病で入院、現職への復帰が危ぶまれ剣道はもう出来ないと半ば諦めていた時、多くの先輩・友人にわざわざ遠方からもお見舞い、激励いただき感謝しています。殊に、ベット上の自分をそれぞれ7回も8回も見舞って「もう一度剣道やろう、出来るぞ、諦めるな」と熱い思いで励まして頂きました二人の先輩と義弟のことは、特に忘れることは出来ません。
4,現在満78歳、これまで剣道が続けてこられたのは家族の支えは勿論のことですが、中学(岡山県・格致中、現・久米中)、高校(津山高)、大学(関西学院大)そして会社(日立造船、現・カナデビア)剣道部で、その時々に不思議にも剣道も強いが気の合う仲間に巡り合えたことです。このことは私にとって何ものにも代えがたい宝(幸運)であり、今なお剣縁は続き、稽古も第二道場も競い合っています。
今後とも健康に留意して、少しでも師へのご恩返し(後進の育成)が出来るよう精進を重ねたいと念じております。(受付日:令和7年5月22日)
*『令和版剣道百家箴』は、2025年1月より、全剣連ホームページに掲載しております。詳しくは「はじめに」をご覧ください。



