公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

アンチ・
ドーピング

変化するアンチ・ドーピング教育(コラム51)

 2021年、世界アンチ・ドーピング機構による規程改定に伴い、「教育に関する国際基準(ISE)」が発効されました。これにより、アンチ・ドーピング教育は単なる規則遵守のための知識提供から、スポーツの価値を基盤とした”人づくり”へと大きく舵を切ることになりました。

 この流れを受け、日本では2023年度よりクリーンスポーツ教育プログラムが本格的に始動しています。このプログラムが目指すのは、「違反をしない」「ルールを守る」といった表面的な行動の徹底にとどまりません。スポーツを通してどのような価値を体現し、社会にどのような影響を与える存在になるのかという、本質的な問いに向き合う教育です。

 たとえば剣道においては、「剣道の価値とは何か」「剣道を通してどのような人間になりたいのか」「社会にどう貢献できるのか」といった問いを、自らの言葉で考え、表現する力が求められます。これは「剣道の理念」とも通じるものです。アンチ・ドーピングからクリーンスポーツへの転換は、まさに価値教育への深化と言えるでしょう。

 また、教育対象の低年齢化が進み、日本アンチ・ドーピング機構を中心に中高生アスリートへの教育が積極的に推進されています。2023年度からは国民スポーツ大会(国スポ)参加者に対し、少年・成年を問わず、サポートスタッフや保護者に至るまで受講が義務化されています。これは、将来トップレベルを目指すか否かに関わらず、すべての若い剣士にとって重要な基盤となるものです。

 全日本剣道連盟では、小中学生から高校生を対象に「ジュニア剣士のためのアンチ・ドーピング道場」を2022年より動画配信し、理解の普及を図っています。さらに5月に東京武道館で開催される第1回アジア・オセアニア剣道選手権大会では、子どもでも参加できる体験型ブースの設置も予定されておりますので、気軽にお立ち寄りください。

アンチ・ドーピング委員会
委員 小澤 聡

* この記事は、月刊「剣窓」2026年5月号の記事を再掲載しています。