公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

アンチ・
ドーピング

2022年度のアンチ・ドーピング規則の変更点(コラム37)

 今年度のドーピングに関する規則が少し変わりました。剣道愛好家や医療従事者の方々のために主な変更点をあげます。お薬の処方を受ける時、服用する時や、医療施設で治療を受ける時の参考としてください。

1.競技会(時)の糖質コルチコイド注射(いわゆるステロイド注射)が原則禁止となりました。つまり、競技会(時)は、静脈内、筋肉内、関節周囲、関節内、腱周囲、腱内、硬膜外、髄腔内、皮内、皮下などに糖質ステロイドを注射することが禁止されます。どうしても糖質コルチコイドを使わざるを得ない正当な医学的必要性がある場合には、アスリートはTUEを申請することができます(TUEとは、禁止物質・禁止方法を治療目的で使用したい競技者が申請して、認められれば、その禁止物質・禁止方法が使用できる手続きです。特定の書式があり、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)に提出するために、すべて英語での記入が必要です)。
 なお、糖質コルチコイドの経口投与(口腔粘膜、頬、歯肉および舌下経路を含む)は、既に競技会(時)の使用が禁止されていて、口内炎の薬は競技会(時)には使えません。他の投与経路(吸入、皮膚、鼻腔内、眼科および肛門周囲などの局所投与)は禁止されていません。

2.気管支拡張作用があり、ぜんそくの治療などに吸入剤としてしばしば用いられる「サルブタモール」の投与可能量が変わりました。変更の詳細は全剣連ホームページをご覧ください。

3.競技会(時)および競技会外で常に禁止される物質として、新たにBPC-157が入りました。この物質は、市販の一部のサプリメントに含まれている可能性があるので、サプリメント摂取の際にはよく成分表を確認することが必要です。知らずに摂取すると、「うっかりドーピング」となります。

4.競技者が安易に点滴や静脈注射を受けてはいけません。医学的に必要な場合には、点滴を入院設備のある医療機関で受ける場合は許可されますが、たとえば「きつい練習後の脱水状態」に対して点滴することは禁止されていると考えられます。

 なお、詳細は全剣連ホームページに掲載されておりますので、それをご覧ください。

アンチ・ドーピング委員会
委員長 宮坂昌之

* この記事は、月刊「剣窓」2022年5月号の記事を再掲載しています。