公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

アンチ・
ドーピング

アンチ・ドーピング規則違反Q&A(2)(コラム30)

 WADA(世界アンチ・ドーピング機構)は「アンチ・ドーピング規則違反」(以下、A・D規則違反)として10項目を定義しています。その中に「A・D規則違反を手伝い、促し、共謀し、関与すること」「A・D規則違反に関与していた人とスポーツの場で関係を持つこと」とあります。今回は、これらの規則違反についてQ&A形式で解説します。以下の問1、2の文章は正しい、誤っている、どちらに該当するか考えてみてください。

問1.同僚選手がA・D規則違反をしているのを知っていたが、自分とはかかわりないことと思い、放置していた。自分は悪いことはしていないので、これはA・D規則違反ではない。

解説:(答え ×)アスリートとサポートスタッフは、すべてA・D規則違反の対象です。ドーピングをしていることを知りながらその事実を隠す、あるいは見逃すことは違反とみなされます。日本スポーツ振興センターのWebサイトに、「ドーピング通報窓口」があります。A・D規則違反が疑われる行為を見たり聞いたりした場合は、このサイトのフォームに入力することで情報提供を行うことができます。

問2.自分が治療を受けるチームドクターが、他の選手に対してA・D規則違反をしていることは理解していたが、自分に対しては医療行為をしてくれただけだったので、自分は悪くない。したがって、A・D規則違反とはみなされない。

解説:(答え ×)問1と同様、規則違反とされる行為に関与している人物だと知りながらサポートを受けることは違反行為です。また、アスリートは、自らの責任として、ドーピングに関与した人物と関係をもっていないことを示す義務があります。国内のA・D規則違反については、JADA(日本アンチ・ドーピング機構)のHP上で種目・氏名が公開されています。規則違反で制裁期間中の人をコーチとしたり、その人物のクリニックに通院したりすることは、規則違反となります。

 自分自身がドーピング行為をすることだけでなく、周囲のドーピングを隠したり、ドーピングに関与した人物と関係したりすることも規則違反になることを知っておくことは重要です。クリーンな剣道界を維持していくためには、皆がアンチ・ドーピングの重要性を理解していくことが大切です。

アンチ・ドーピング委員会
委員 濱井彩乃

* この記事は、月刊「剣窓」2020年8月号の記事を再掲載しています。