公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

アンチ・
ドーピング

医薬品、サプリメント入手・使用の正しい知識(コラム28)

 アナボリックステロイド(筋肉増強剤)は、スポーツ選手のドーピングで問題になる禁止薬物の一つです。ところが、意外なことに、ネット上ではこのアナボリックステロイドの使用が支持されているような記述がしばしばみられます。「使ってみるとすぐに脂肪が落ちて筋肉が盛り上がった」「以前から使っているが異常は感じない」「ドーピングを規制しているスポーツの選手以外の人は平気で使っている」などといった記載で、中には動物試験結果を載せて、安全性を強調している薬物もあります。

 どういった人(あるいは企業?)が書いているのかわかりませんが、非常に恐ろしいものを感じています。アナボリックステロイドは医療上必要な時にのみ使われる薬物で、適正な使用量で使われていても、副作用には十分に気を付ける必要があり、医師の指導の下で十分に注意して使用されているものです。恐ろしいのは、服用をやめてからも、深刻な副作用に後々悩まされる事で、皮膚疾患、精神疾患、肝障害や性機能低下など非常に多くの副作用が報告されています。

 また医師の処方以外で、入手するのは、海外の日本向け販売サイトからの購入がほとんどであると思いますが、これらの製品は、正規品に似せた偽薬も多く含まれており、使用法も本来の何倍もの使用量を設定しているものがあると聞きます。もともと医師の処方箋が必要な医薬品を、処方箋なしに国内で販売することは違法ですが、海外の日本向けサイトは、日本の法律で規制できないことを利用した商売で、何が起きても誰も補償してくれません。

 ステロイドに限らず、医薬品、サプリメントなどの使用は、ネットを安易に信用せず、専門家の意見を聞いて確実なものを使用することが大事です。アンチ・ドーピング活動はフェアプレーも目的の一つですが、何より選手の健康を守ることが大きな目的です。

アンチ・ドーピング委員会
委員 亀尾一弥

* この記事は、月刊「剣窓」2020年2月号の記事を再掲載しています。