公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

審査会

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剣道七段審査会(京都)

開催日:
2013年04月30日(火)
会場名:
京都市立体育館
受審者数 合格者数 合格率 形再受審
780 143 18.3% 3

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審査員の寸評(実技)

 本年度に入って第1回目の七・六段の昇段審査会が4月29・30日の両日、京都市立体育館で開催されました。昨年に比べ今回は高い合格率を見ました。合格された方は日頃の修錬が結実し心よりお祝いを申し上げます。また不合格となられた方には一層の修錬を期待します。

 さて、今回審査にたずさわった者として気付いたことを何点か申し上げます。

 第一は、着装・礼法・所作等についてはおおむね出来ていたと思いますが、未だ面紐が長かったり、腕組みをしたり、竹刀を杖にしている受審者が散見され、残念に感じました。高段者としての心構えとしてはいかがかと思います。審査は自己の修錬の集大成の場であります。受審者の一挙手一投足が審査に響きます。心して下さい。特に待機中は心を落ちつかせ立合いに臨む心構えをしっかり作っておくことが肝要です。

 第二に構えと間合について申しあげますと、常に構えているだけで、そこから何の気の充実、気迫、気当りも感じませんでした。私は、ある先生から構えは生きていること、剣先から炎が出ていることが大切だとの教えをいただきました。研究・工夫を積んで下さい。

 また、立ち上がっていきなり近間に入る人が多く見受けられました。攻めるに強く、守るに強いのが間合です。山岡鉄舟の教えに「両刃交鋒不須避(りょうじんほこさきをまじえてさくるをもちいず)」というのがあります。交刃は即ち一足一刀の間、触刃に始まり交刃になる。ここが生死の分かれ目、生死の間に入ると、千鍛万錬の人は益々意気が盛んになるということです。心の修業と併せて間合の修得をするよう心掛けていただきたいと思います。

 第三に打突と残心ですが、打突に無駄打ちが多く、一本にかける心構えが乏しく、相手を無視し、自己中心的な打突が散見され、打突後の残心にも不備な点が見受けられました。残心は技のまとめ(身
構え、気構え)です。充実した気勢で三殺法を駆使し身を捨てて打ち切る打突をし、技のまとめが出来るよう平素の修錬をすべきだと感じました。特に「初太刀千本の価値がある」といわれております。今一度、有効打突の要件・要素を正しく理解して審査に臨んでほしいと強く感じました。

 最後になりますが、段位審査規則の審査実施上の着眼点、付与基準に目を通していただきたいと思います。難解な文言のように思われがちですが、辞書を引いて見ますと言葉に込められた意味が納得できます。益々のご精武をご祈念申し上げますと共に、一人でも多くの合格者が出ますことを切望し寸評と致します。

山本 重美

審査員の寸評(剣道形)

◎はじめに
 再受審者(七・六段ともに)の出来栄えは努力の後が見受けられ全員合格でした。今後ともさらなる形への真摯な取組みの姿勢を継続して欲しいものです。

◎あらためて吟味・確認しておきたいこと
 審査は全剣連刊『日本剣道形解説書』に記された「日本剣道形審査上の着眼点」を基にしてなされます。今般の審査会では修業の段階に関わり無く数多く見られた「あらためて吟味・確認しておきたい事柄」のうち典型的な例を幾つか取上げます。
①太刀、小太刀の持ち方、五つの構えおよび小太刀の構え(特に中段半身の構え)の再吟味。②太刀の形三本目:打太刀が仕太刀の「み審査会特ずおち(水月)への突き」の刃先の位置が高くなっている。従って仕太刀の物打の鎬で軽く入れ突きに萎やす動作が不十分。三本目と六本目に床を踏みすえて音を出す者が目立った。③太刀の形四本目:諸手を充分に伸ばした大技での正面の打ち込みによる相打ちで切り結びの位置が高い者がおり、単なる刀のぶつけ合いにおわって相互の刀身が鎬を削りつつの攻防が見られない。間合のとり方についての吟味が特に求められる。④太刀の形七本目:間合に接した時の打太刀の気当りは仕太刀の胸部を突き、仕太刀は物打の鎬で打太刀の刀を支えるので双方の剣先はやや上がり、交差した物打の高さはおおむね肩の高さであることの確認。⑤打太刀の「機を見て」、小太刀の「入身になろうとするところ」とある打突の機会の捉え方の吟味。⑥小太刀三本目:仕太刀のすり上げ、すり落として後の「すり流し」が「打落とし」になっている例、「すり込み」後の刀の直角の交わりが不完全な例が多く見られた。

◎おわりに
 今日の剣道があまりにも競技的な色彩が強過ぎて剣道本来の姿を見失いかけているとの苦言を耳にします。国際的に普及の進む世界各国、とりわけ欧州の剣友たちの日本剣道形への取組みはある意味で皆さんよりも厳しいものがあります。この機会に皆さんもあらためて技術の純粋性を確保する日本剣道形の稽古に謙虚に、そして真剣に取組まれ、後進のお手本となられることを期待します。

佐藤 成明
*この記事は、月刊「剣窓」2013年6月号の記事を再掲載しています。

行事概要

行事名
剣道七段審査会(京都)
開催日
2013年04月30日(火)
会場名
京都市立体育館
〒615-0864 京都府京都市右京区西京極新明町32番地
(1)京都駅より番号73洛西バスターミナル行―西京極運動公園前下車 約20分(2)武徳殿の近くでは京都会館美術館前より番号32京都外大前行―西京極運動公園前下車 約30分(3)阪急電鉄西京極下車 約150メートル
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