
アンチ・
ドーピング
正々堂々と勝負するために -アンチ・ドーピング再確認-(コラム50)
「剣道はドーピングとは無縁の競技」と思われている方も、少なくないかもしれません。しかし実際には、いくつかの剣道大会でドーピング検査は行われており、過去にはFIK加盟国の選手が、ドーピング禁止物質が含まれていることを知らずに治療薬を内服した結果、いわゆる「うっかりドーピング」としてドーピング違反と判定され、処分を受けた事例もあります。
もちろん、勝つために故意に禁止物質を使用する剣士はいません。しかし、年齢を重ねるにつれて、持病の治療や体調管理のために医療機関を受診し、薬を服用する機会は増えていきます。一方で、年齢にかかわらず、鼻炎の薬や咳止め、強い痛み止めなどを安易に使用してしまうことも少なくありません。その中に、ドーピング禁止物質が含まれている可能性があることを、知っておいていただきたいと思います。
全日本剣道連盟アンチ・ドーピング委員会では、講習会や資料配布、『剣窓』コラム、アンチ・ドーピング動画、検索アプリの紹介などを通じて、ドーピング違反を防ぐための啓発活動を続けています。しかし現状では、サプリメントを日常的に使用している選手や、知らずに禁止物質を含む治療薬を服用している方がいるのも事実です。
特に注意が必要なのが、市販のかぜ薬や漢方薬、サプリメント、栄養ドリンクなどです。中でも海外製品やインターネットで購入できる商品には、表示されていない禁止物質が混入している例が比較的多く報告されています。「知らなかった」では済まされないのが、アンチ・ドーピングの大原則であり、口に入るものはすべて自己責任で管理しなければなりません。
ドーピング検査が行われる大会に出場する選手は、医療機関を受診する際、必ず医師や薬剤師に「剣道をしており、ドーピングが心配です」と伝えてください。
アンチ・ドーピングは、選手を縛るためのものではなく、すべての剣士が同じ条件で正々堂々と勝負するための共通のルールです。正しい知識を身につけ、年齢を重ねても健康に剣道を続けることこそが、剣士としての本当の強さにつながるのではないでしょうか。
アンチ・ドーピング委員会
委員 門野由紀子
* この記事は、月刊「剣窓」2026年2月号の記事を再掲載しています。



