公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

全剣連の
お知らせ

更新

2022年度 剣道における熱中症への取り組み 中間報告(8月2日まで)

 2022年4月末より開始された「剣道における熱中症報告 報告フォーム」によるオンライン報告システムにつき、8月2日時点での概要と考察をご報告いたします。

【報告件数】10件

【重症度内訳】(注:重症度の申告は会員の判断による)

【救急搬送】

【性別】

【発症者の年代】

【発生時の温度】

【発生時のエアコンの使用】

【発生時の換気の実施】

【発症者のマスクの使用】

【概要】

  • 7月末までに10件の熱中症発生報告がありました。ただし、実際の発症件数はこれよりも多いことも推測されます。
  • 10例目までの報告ではⅡ度以上は8件(80%)となります、その後Ⅱ度がさらに報告されており、昨年(ほとんど報告なし)とはあきらかに違う状況です。
  • 発症年齢は小中学生が8例(80%)であり、昨年(33%)、一昨年(32%)にくらべ若年者の割合が高い傾向にありました。
  • 5例(50%)は気温が31℃以上の環境での稽古であり、昨年(33%)、一昨年(9%)の報告に比べ高い気温での稽古での報告が多い傾向にありました。
  • 全例で換気は行われていたものの、9割でエアコンは不使用でした。
  • エアコン使用中の発症例においては試合で延長戦を繰り返した後の発症であり、身体への過負荷も原因であった可能性があります。
  • 全例でマスクは着用かつ口元タイプのフェイスシールドを着用しており、不織布マスク着用者はいませんでした。

【考察】

  • 現状の報告においては、熱中症の重症度は昨年より高い傾向があり、昨年より重度の熱中症が起こりやすい環境であると思われます。
  • 小学生、中学生などの体温調節能力および自己管理能力の低い年齢に多い傾向がみられました。この年代の剣道実施にあたっては、涼しい場所でのこまめな休憩を入れる等、指導者に細心の注意をお願いします。
  • 暑熱時の休憩は単に防具を外したり水分補給を行うだけでなく、涼しい場所での休憩を考慮して下さい。
  • また、3件は熱中症予防のための運動指針(※2)の「厳重警戒」レベル以上の環境で稽古を行っており、マスク着用の有無にかかわらず稽古をすべき環境ではなかった可能性があります。
  • 高温環境でない例においても無風・高湿の報告がありました。熱中症の防止には温度、湿度の両方の測定が必要である。一昨年来、連盟として、暑さ指数(WBGT)計の使用を推奨してきており、道場・体育館への設置の再検討をお願いします。
  • 90%の例でエアコン(空調)が使用されていなかった。高温環境下においては、極力エアコンの使用をお願いします。エアコンのない施設においては、設置の再検討をお願いします。
  • 暑熱環境下の稽古で具合が悪くなった際にはその場で休むのではなく、必ず涼しい場所での休息を促してください。
  • マスク着用に伴う熱中症リスクを懸念する声もありますが、マスクの着用が体温に及ぼす影響はほとんどないと言われています(※3)。暑さを感じた場合にはマスクの着用の有無にかかわらず、エアコン・休憩などの対策の徹底をお願いします。

 熱中症は健康な若年者においても死亡にもつながり得る、重大な疾患です。
 剣道指導者は暑熱順化の必要性、稽古時間と量、涼しい場所での休憩につき改めて考慮し、稽古メニューを組むことが求められます。

※1:暑熱順化
※2:「熱中症予防のための運動指針」【日本スポーツ協会】
※3:新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)p.11【日本救急医学会.他】

ご協力のお願い

 なお、剣道の稽古や活動内で、熱中症が発生した場合には以下のフォームにご報告いただきますようお願い申し上げます。
[全剣連] 剣道における熱中症 報告フォーム

お知らせをシェア