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【医・科学委員会】剣道の安全な実践環境に関する調査結果について(2025年度)

全日本剣道連盟 医・科学委員会では、剣道実践における安全環境の整備状況を把握するため、2025年7月1日から2026年3月31日にかけて調査を実施しました。
本調査は、2025年7月1日に公表した「剣道の実践環境に関する調査」に基づき、全国の剣道実施団体の協力を得て実施したものであり、剣道実践における環境面での安全性の実態把握を目的としたものです。あわせて、これまで委員会として啓発を進めてきたAED設置や熱中症対策等の取り組みが、現場にどの程度「浸透しているのか」を確認することも目的としています。
■調査概要
- 実施期間:2025年7月1日~2026年3月31日
- 対象:全国の剣道実施団体(道場・学校・団体等)
- 回答数:1,439件
- 方法:アンケート調査
■主な結果(概要)
本調査では、稽古実施状況から安全対策、設備状況に至るまで、多角的に現状を把握しました。
Ⅰ.稽古実施状況
多くの団体において、週複数回の稽古が継続的に実施されており、日常的な活動基盤が維持されていることが確認されました。
Ⅱ.保険加入
一定割合でスポーツ保険等への加入が進んでいる一方、未加入の団体も見られ、リスクマネジメントの観点から今後の課題が示されました。
Ⅲ.AED設置
AEDについては、設置されている施設が過半数を占める結果となり、これまでの啓発活動の一定の成果が確認されました。
一方で、未設置の環境も依然として存在しており、さらなる普及の必要性が明らかとなりました。
Ⅳ.救急箱の用意
多くの団体で救急箱が備えられているものの、内容や管理状況にはばらつきが見られました。
Ⅴ.熱中症対策
熱中症対策については、多くの団体で一定の対策が講じられている一方で、WBGT(暑さ指数)を活用した客観的な管理については十分に進んでいない実態が明らかとなりました。
Ⅵ.用具・施設の安全管理
用具の点検や施設の安全確認は概ね実施されているものの、定期的な点検体制の確立には改善の余地が見られました。
Ⅶ.安全管理の工夫
各現場において、独自の工夫による安全対策も多く報告され、実践的な知見の蓄積が進んでいることがうかがえました。
■まとめ
本調査により、剣道の実践環境における安全対策は一定程度進展していることが確認されました。特に、AED設置や熱中症対策については、これまでの啓発の成果が現れつつあると考えられます。
一方で、設置・実施状況のばらつきや、WBGTの活用など客観的指標に基づく管理の遅れといった課題も明らかとなりました。これらは、重大事故の未然防止という観点から、看過できない要素です。
剣道は対人競技であり、また防具を着用して行う特性上、身体への負荷や環境要因の影響を受けやすい競技です。したがって、安全対策は「個々の配慮」ではなく、あらかじめ環境として整備されているべきものです。
医療の立場からは、事故や疾病は「起きてから対応するもの」ではなく、「起きる前に備えるもの」として捉えることが重要です。AEDの設置、救急対応体制の整備、WBGTを活用した熱中症予防などは、いずれもその基本となる取り組みです。
各団体におかれましては、本調査結果を一つの指標として、自らの実践環境を見直し、より安全な環境の構築と準備を進めていただくことを期待します。
医・科学委員会では、今後もエビデンスに基づく安全対策の推進に取り組んでまいります。
■謝辞
本調査の実施にあたり、多くの団体・関係者の皆様にご協力をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。
■調査レポート(詳細)
本調査の詳細な結果、各項目の数値データおよび具体的な事例については、以下のページよりご覧いただけます。
※本資料は、剣道における安全対策のさらなる推進を目的として公開しています。各団体におかれましては、日々の稽古環境の見直し・改善にご活用ください。



