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平成24年02月号 第295回

(財)全日本剣道連盟 会長 武安義光

  今年は東日本大震災の復旧のほか、国内政治・国際情勢・世界経済など動きが多く、日本の進路に影響を及ぼすであろう問題を孕らみ、多事多難の年になることが心配されます。

  まず近い所では北朝鮮の金 正日総書記の死去により、地位と権力が三男の金 正恩に引き継がれたことがあり、北アジアの政治情勢にどのような影響と変化が起こるか注目されます。

  中近東や北アフリカ諸国での政情不安が報ぜられますが、日本への石油への輸入経路への影響、石油価格の高騰が心配です。またEU諸国の経済・財政の不安定によるユーロ価値の下落、米国経済の見通し悪化によるドル安、これらに起因する大幅の円高は、日本経済に打撃を与えます。経済大国に成長している中国の経済力・軍事力増強を背景にした動きも懸念されます。

  国内を見ると、東日本大震災による被害への対応のほか、借金漬けの政策が続けられた結果の、財政の先行きが懸念されます。

  さらに国の前途を見るならば、解決していくべき問題が山積しており、政治のみならず、国民は多くの分野で奮起して問題解決に立ち向かって行く必要があります。

  大事な時期に不作の内閣が続いて、三代目に誕生した野田内閣は、発足後4カ月を経て、ようやく改造内閣を発足させましたが、内向きの国民への迎合政治から脱却して、本筋の政治を展開して行けるか期待したいと思います。

  そこで例年通り、元日の各紙の論調を見ていきます。


年頭の新聞論調に見る

   「『ポスト成長』の年明け」を掲げて、【朝日】の社説は始まっています。戦後続いてきた「『成長の時代』が先進国で終りを告げようとしている」「振り返れば経済成長が行き詰まると、成長を取り戻そうとして金融を拡大してバブルを生んできた。その後処理のため財政赤字を積み上げてしまった」「日本も欧米先進国を追って成長を諦めずに国債を乱発してきた」と指摘します。

   「昨秋来日したブータン国王夫妻によって示された、物質的充足より心の豊かさを求めて国民総幸福量(GNH)を掲げるブータンの国是に関心が持たれた。しかし経済成長をしないで、巨額の財政赤字を処理しつつ、急激に進む少子高齢化を乗り切れるか。これがつぎの難問となる」と説き、このため朝日社説は「持続可能性」を大原則とすることを提案しています。

   そこで取り組むべきは「社会保障と税の一体改革」を実現させて成熟社会の基盤を作ることとしています。

   ズバリ具体的に「『危機』乗り越える当事者能力を」そして「ポピュリズムと決別せよ」と説くのが【読売】です。経済危機と財政危機を具体的に述べ、その危機からの脱却のため消費税率引上げによる財政再建を急ぐべきとし、社会保障制度を持続可能にするには、消費税率引上げしかないことを国民に丁寧に説明して、理解を求めるべきと述べ、また自民・公明両党も政権復帰の可能性を見据え、法案成立に協力すべきとします。この際大衆に迎合する政治との決別を強調します。

   続いて読売は外交問題ではアジア太平洋での荒波に対応するためアジア重視の姿勢に転じた米国との同盟を深化させ、南西方面の防衛力を向上させることを日本の採るべき道とします。そして沖縄問題の解決が避けて通れず、日米合意の実現のためあらゆる努力をすべきとします。

   つぎに環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加は農業再生へのチャンスと捉え進めるべきとします。

   さらに読売は「安全な原発に更新せよ」とし、安全が十分に確認できた原発から再稼働していくことが必要とし、前首相の無責任な「脱原発」路線と一線を画した現首相の現実に沿った政策を当然とします。国内で古くなった原発を高性能で安全な原発に更新する、という選択枝を排除すべきでないと主張します。

   原発については他紙でも取り上げており、反対の立場の【東京】は「民の力今生かそう」という表題の中に、昨年9月に東京で行われた「さようなら原発デモ」が、圧力形成に成功したとの評価をしています。

   また朝日は将来世代に核のゴミを残す原発はできるだけ早くゼロにするといって環境重視の経済に組み替えるのが、成熟した社会への切り替えの例としています。

   【産経】は「日本復活の合言葉『負けるな』」を掲げ、その例として、福島第一原発の復旧作業現場での例を挙げ、事故後にここで頑張った約500名の作業員の戦いを挙げ、日本の底力として称えており、各領域で日本が強い国に生れかわることが必要とします。そしてまず胆力と構想力を持った指導者が欠かせないとします。

   【日経】は民主主義・資本主義の危機といわれる現在、日本としてはグローバル社会で生き抜く事にあるとします。

   【毎日】は諸問題を政治プロセスで解決すべきと政治に注文をつけます。

   以上簡単に展望してきましたが、各紙の性格を読み取って下さい。


新年度事業計画の策定進む

  4月からの新年度を控えて、各委員会・諸会議で事業の展開につき議論が進められています。平成24年という年は幾つかの点で大きな節目の年になります。

  まずは連合諸国との講和条約が発効して、日本が独立を回復した年から60年ですが、この年に発足した全剣連が同じく60周年を迎えます。全剣連としては従来の節目の年にならって、記念行事を行うなうことを予定します。ただ10年前の50周年に比較して地味な行事とする予定で、全剣連の歴史の構築に役立つものとしたく準備を進めています。

  次にこの年に全剣連の法人格が変わり新しい法人として生まれ変わることになります。政府の方針で制度の変更が必要となりました。準備作業を進め、全剣連として、一般財団法人として進むための成案を得て、ご承知の通り昨年11月に政府に認可申請をしました。その結果本年3月に認可を得られる見通しが立ち、4月から新法人として発足する目途が立ちました。新しい定款により生まれ変わった形で剣道界の今後の運営が行われる事になりますが、丁度60周年の年に合致することになりました。ただこの変更は事業実務面では従来を引き継ぐこととして、とくに変更する所はありません。

  つぎの節目は、かねて決まっていた中学校体育において武道が正課として取り入れられる年になります。これについて全剣連としての準備・協力を進めて来ました。主体は学校現場に近いところでの準備に骨折って頂いておりましたが、いよいよ新年度から実行に移る時が来たわけです。全剣連としては剣道教育の実態を把握しつつ、所要の支援を行います。

  以上が節目となる事項で、これらに配慮しつつ盛り沢山の事業計画の策定を進めていきます。


明るいニュースー剣道初段取得者が増加

  平成23年の段位取得者数が纏まりました。少子化の影響もあり、毎年減少が続いてきた段位取得者が増加しました。特に初段取得者が、前年比13%増の4万3千人を記録し、4万人の大台を回復しました。3年ぶりのことです。都道府県別に見ますと、4県を除き増加が示されています。

  明るいニュースではありますが、割引をして見るべきところがあります。それは本年度から中学校2年だった初段の受審資格が満13歳に改められたことです。従って4月以降はこれが効いている事になります。しかし中学校体育で正課として取り上げられることも影響しておりましょうし、各剣連の努力の成果もあることでしょう。フルに年齢切り下げの影響を年度が終わった所で見ることが必要です。しかし、各段位の昇段者がわずかですが増加している傾向も見られますし、多くの条件が影響していると思われるので、実態把握に努めます。


講習事業次々と展開

  新年を迎えて全剣連は残りの期間に、講習事業が活発です。各種の強化活動が活発に展開されます。

  幹部教育では、審判法の講師要員講習、指導法の講師要員講習、また社会体育指導者の上級講習が東西で組まれ、例年通り杖道の地区講習会も行われます。

  また、5月の世界剣道選手権大会に備えて、3月末に各国の審判要員に参集を求め、審判講習会を成田で開催し、大会での審判の万全を期することにしています。


恒例の日本武道館主催の鏡開き式、武道協議会の表彰が行われる

  恒例の行事は1月9日の「成人の日」に日本武道館で行われました。式に先立つ武道功労者の表彰で、剣道からは全剣連の推薦で個人として児嶋 克範士、武道優良団体として「木刀による剣道基本技稽古法部会」が受賞されました。  


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