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平成22年05月号 第274回

(財)全日本剣道連盟会長  武安義光

  今年は桜の開化は早かったのですが、三寒四温というのでしょうか、すぐに冷え込みが来たせいか、新年度・新学期の開始になる4月初めに、九段界隈は花で彩られました。新入学生・新社会人が行き交う明るい風景が花に併せて繰り拡げられました。

  新年度の全剣連事業は、東西で開かれる剣道中央講習会で始まります。この講習会は今年で45回を迎え、全剣連として最も重視しているものですから、今回はその沿革を振り返ります。

  続いては名古屋で全国の選ばれた剣豪による第8回全日本選抜剣道八段優勝大会が行われ、大阪での第58回全日本都道府県対抗剣道優勝大会、そして全国の剣道の高段者が集う歴史ある第106回全日本剣道演武大会、これに並行して進められる大型の審査会と、行事が古都で繰り広げられます。

  これらはいずれも日本の剣道界の充実度を占う上で目を離せないもので、執行部は行事が順調に進められるよう緊張して当たります。


45回の年を重ねた剣道中央講習会の役割を顧みる

  この講習会は全剣連講習事業の柱として、各剣連の幹部の参集を求めて行われてきました。内容・役割の変遷をここで振り返って見ます。

  全剣連が昭和27年に発足し、剣道の戦後の復興に立ち上がった当時は、全体のシステムを作る仕事に追われていました。各種大会を立ち上げる、学校教育の場に復活させる、称号・段位制度を立ち上げ、運用して、収入を上げ財政基盤を強化する。ちょっと取り上げただけのこれらの仕事を、弱体であった事務機能で処理して行く当時の状況の厳しさは想像に余りあります。

  審判技術の伝達講習で始められた

  全剣連発足後10年余りを経た昭和40年前後になって、ようやく講習事業に手をつけられる時代となりました。当時最も必要度が高かったのは審判講習でした。それは指導の中心であった戦前育ちの剣道指導層にとって、打突部位こそ昔と変っていませんが、試合への時間制の導入、場外を始めとした反則制度、そしてこれが一本に換算され勝負に結び付くシステムを織り込んだ試合・審判規則の運用、解釈については多くの戸惑いと疑問が提示されたのは無理からぬことでした。当時の剣道界として、全国規模での試合が急速に広く行われるようになっていた状況の下、現在要請されている試合の内容向上のための審判技術以前に、その教育が焦眉の急でした。

  全国都道府県から幹部クラスの人々を集めて行われた審判講習会が、昭和41年9月に3日間にわたり日本武道館で行われました。これが現在の中央講習会の始まりになります。その後講習科目に日本剣道形が加えられ、昭和44年には受講者の便を考慮して東西に分けて実施され、毎年の重要行事として続けられました。

  この講習会の特長は、中央で定めた規則改定やその運営事項、解釈などの事項の「伝達講習会」であり、この内容を地方の剣連でさらに下部に伝達され、全般の普及に役立たせるという体制でした。日本剣道形についても同様でした。

  その後船舶振興会の補助が得られるようになり、全国各ブロック持ち回りの講習会が行われました。

  こういった状況で講習の体制、地方への普及の方法が定着して何年かが過ぎました。このことは全剣連設立の当初は役割を果たしましたが、その内容的に進歩が乏しく、指導法などの科目は重点とされないまま、停滞の時代が続いたと見ます。

  指導法を重視した講習会へと内容が進展する

  昭和の末になると、試合・審判における規則の改正・解釈の変更も一段落して、成熟の時期に入っていました。剣道人口も増え地方での剣道人材も育ち、講習の変革への素地が高まって来ました。

  平成に入って講習を取り巻く状況が大きく動き出しました。講習の主題であった試合・審判規則の大改正が行われ、それまでの問題点を整理し、形式的にも近代化した規則が平成7年にできました。また続いて「手引き」が作成され、さらに基幹となる審判法の講師要員の養成が始まり、認定を行って、各地の講習の内容改善に大きな役割を果たすようになりました。

  日本剣道形については、解説書の見直しを進め、ビデオが作成されるなど、資料の充実も進められました。

  普及活動の中心というべき指導法についての講習の教程の整備が進められ、新しい講習会資料が平成15年に完成するなど、講習参加者の事前の勉強になる教材などの資料が平成10年代に入ってつぎつぎと整備されて行きました。

  これらの成果に基づき、全剣連は講習の重点を、本来目指すべき剣道人口の底辺から充実させる、指導法に置くよう変換することができました。

  全国の指導力強化の役割を担う中央講習会

  本年度の事業計画に見られるように、全剣連は事業の重点に指導力の強化を掲げており、昨年の役員改選の際、「指導委員会」また普及委員会の中に「学校教育部会」を新設、その面の研究・業務の充実を進めています。

  ご承知のように5年前から、全剣連は普及、指導の重心を地方に移しております。各剣連が普及の中心となって活動することを要請し、全剣連はその活動を基本事項の策定、講習会への講師派遣などで助成する方向に切り替えています。この意味で中央講習会の役割も、かつての伝達でなく、各剣連の指導力増強を助ける養成へと大きく変って行きます。これに対応して、全剣連ももっと研究を進め、実力を高めていくことが必要になります。


白熱戦が期待される2年目の男子全日本都道府県対抗剣道優勝大会

  昨年から夏の全国家庭婦人剣道大会と併せて組み替え、男子だけの大会に戻った58回目の歴史を積み上げたこの大会、新しい構成で2回目を迎えます。大会に備える各剣連の体制も整って、高校生・大学生の部から充実した大会となることを期待しています。

  毎回優勝候補のトップの座にある地元大阪府に肉薄して、これを降す剣連が出てくることも予想されます。ゴールデンウィークの冒頭を飾るこの大会、見る者に感銘を与える場になることを確信しています。多数の方々が応援、観戦に来て頂き、あの広い大阪市中央体育館が埋まることを念じます。


全日本剣道演武大会と大型審査会への参加者、挑戦の人員は

  このところ増加傾向が続いてきている演武大会への参加者ですが、本年も参加申込者は居合道・杖道など併せて3,408名となり前年に比し4%の増加となったのは心強い限りです。

  また一連の昇段審査への申込者数を見ると、まず剣道八段審査において、5月1日、2日の受審申込者合計1,592名と、前年比1割以上の増加が目立ちます。

  また七・六段についても、京都での審査は前年比増加しています。5月15・16日に行われる名古屋の審査では、六段が前年比1割増の1,536名ですが、七段は100名減の1,426名です。

  京都・名古屋を併せ、剣道昇段への挑戦者は合計6,700名という大型審査です。難関ですがそれぞれの方、最良の体調で受審され成功されることを念願します。


断  片

  ①130年を迎えた学習院の剣道

  明治の初年に開校した学習院、戦前から皇室・華族の子弟などの階層の教育の役割をもつ学校として知られていました。そして開校以来武道を重視しています。明治37、8年の日露戦争で旅順要塞の攻撃に当たった第三軍司令官乃木希典大将が、戦後学習院院長に任ぜられたことは有名です。乃木院長も剣術を奨励、自らも稽古をされたようです。

  このたび明治12年に剣道(当時は剣術)を正課にして以来、130年の歴史を重ねたことから、学習院剣道部として記念誌『学習院の剣道130年』を刊行されました。

  思い出としては、私の母校旧制武蔵高校は目白と距離も近く、中学段階で学習院と剣道部の交流がありました。当時学習院では秋に、近隣の学校の剣士を招く剣道大会があり、私もお招きを受けて二度参上した思い出があります。

  ②「木刀による剣道基本技稽古法」のための稽古刀

  級位審査を始め、剣道の基本修錬のための「木刀による剣道基本技稽古法」の指導普及が進められておりますが、この際の心配のひとつは、木刀による傷害です。これを防ぐための安全な稽古刀の出現が期待されていましたが、このたびプラスチック等の新素材を組み合わせた『精錬刀』が開発され、全剣連に「木刀による剣道基本技稽古法」の教材として申請がなされています。

  時宜を得たものと存じますので、全剣連としては「医・科学委員会」において検討の上、適当なものであれば推奨することを考えています。

  ③事務局に警視庁を定年退職された吉澤菊夫氏が参加されました。剣道・居合道共に七段位を有する剣道マン。差し当り総務・編集分野で得意の事務能力を発揮して頂きます。

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