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平成21年02月号 第259回

全剣連会長  武安義光

  新しい年を迎え皆さんは元気に仕事に、また研究や勉学に取り組んでおられましょう。


  剣道の初稽古、新年交流の会などをこなし、厳寒の中、各地で活気ある寒稽古も始まっていることと存じます。不況の風が押し寄せている社会の中で、剣道愛好者は鍛えた心身で仕事や勉強に立ち向かい、社会を支える存在になって頂きたく願っています。


  全剣連は年度継続の事業をこなすとともに、新年度の仕事の進め方を模索し、準備に取り組んで行きます。インフルエンザの襲来が懸念されています。お互い体に気をつけて冬を乗り切って行きましょう。2月号の「まど」は例年どおり、新聞各紙の元日の論説ご紹介を通じて社会の進路を展望して頂きたいと思います。

年頭の新聞論調から

  去年の年頭の社説の中心は「地球温暖化」への対応が主力でした。


  今年は申し上げるまでもなく、すべて世界的規模になった不況の中、日本の対応の問題が取り上げられています。「社説」を通じて解説的に記していくことにします。

金融不況の原因と日本の現状

  「新自由主義、市場原理主義の象徴であった米国型金融ビジネスモデルの崩壊が世界を揺るがせている」(読売)。  「人を豊かにする筈の自由な市場が時にひどい災禍をもたらす、資本主義が本来持っているそうした不安定性、金融規制を極限まで緩めた米国で暴発し、グローバル化した世界を瞬く間に巻き込んだ」(朝日)のが今回の危機であり、この見方はおおむね共通していますが、一方(日経)は「サッチャー元英国首相、レーガン元米大統領らが1980年代に進めた規制緩和、民営化の改革が競争力を高め、90年代を中心として米欧を中心とした長期好況を築いた」として、その政策を評価しながらも、問題は「米欧の金融当局が自由競争を重んじる政策を、適切に運用しなかったことが危機を招いた原因」と指摘をしております。


  今回の経済危機は、80年前―1929年の大恐慌以来のものとされますが、当時またそれ以後の教訓もあり、先進各国は協調して対策をとり、日本もこれに協力しております。


  世界金融危機の日本への影響は「発生当初は傷が最も浅いと見られていたが、外需、輸出がにわかに変調を来し、これを引き金として、雇用、企業倒産、消費動向など急速に悪化している」(読売)。さらに日本は「バブル崩壊後の不況脱出を目指した米国流の市場原理を重視した規制緩和を通じ、日本型の経済社会構造が、それなりに効率化され、戦後最長の好景気と最高水準の企業収益が実現した」「だが同時に現れたのは、労働市場の規制緩和で、非正規労働者が働く人の三割に膨れ上がり、貧富の差が拡大し、ワーキングプアの層がひろがった」(朝日)との指摘があります。

この現状に対し日本はどうあるべきか

  これまでの経過から日本の現状を見ると、悲観するばかりでなく、ようやく自信を持った所説が出始めました。まずは日本経済が依然として「世界で2番目の規模を持ち、きら星のように世界で活躍する企業群を育んでおり、混沌となった世界経済を再構築する原動力を持っている」(毎日)の指摘があります。また日本の強みとして「1千5百兆円の個人金融資産があり、またそのうち1割あまりが、個人のライフサイクルから見て『余剰貯蓄』という見方があること。またタンス預金が30兆円、安全を指向する当座・普通預貯金として眠っている資金が120兆円あると日銀は見ているとしており、これらを掘り起こして活用することを、内需拡大のため行うべき」(読売)としています。


  さて「経済の活路を見出だすために『日本人の流儀』を貫くことが大事」と説くのが「産経」です。日本と米国とを比較すると、イソップ寓話「蟻とキリギリス」に例えられるとし、米国の危機の背景に、企業がモノ造りを忘れて金融による金儲けに走ったことがあるという説です。「モノ造りを大切にする蟻型の生き方を捨てないでいくべきで、今後もこの流儀を捨ててはならぬ」と説きます。


  また「このような状況下、大胆な財政活用も必要であるが、戦略的なカネの使い方が必要」(日経)。さらに「当面の危機克服策をどうなったらやめるかという撤退のメドを決めておくこと、また政府が保護主義に傾かぬこと、大きな政府への待望論が強い中、政府は市場経済がうまく回るような環境を作るのが本来の役割」(日経)と戒めています。そして「役人が危機に便乗して権限を増やそうとするのを許すな」と警鐘を鳴らします。


  (東京)はスエーデン型社会を取り上げ、日本の「人間社会の再構築」を説き、(毎日)も「人に優しい社会の構築に向かっての課題を取り上げ、政治もこれらを目指して進むべきこと」提言します。


  さて内向きの論が多い中で、世界経済の混迷の中、日本の国際社会への関与、協力について見直すべきこと(読売)を述べ、いくつかの問題を提案した上で、改めて「日米同盟の維持の重要性」を強調します。そして「たくましい政治が要る」(朝日)、「政治の態勢立て直しを」(読売)、「政治に何を求めるか意思表示と政治への監視と参加がいります」(東京)と締め括られています。

級位審査規程の見直しを進める

  級位というと、初段受審の資格として一級を持つことが必要ということで、「称号・段位審査規則」の付録の形で、級位の審査要領が決められています。


  ただしこれが制定されたのは昭和51年4月という古いものですが、その後に検討された記録はありません。級の審査、授与など実施は各加盟団体に一任されている関係で、問題となることなく今日に至りました。


  改めてこれを見ると、いかにも不備な内容であることに気づきます。初段の下の級であっても、少年剣道の振興には役割を果たしているものであり、まして中学校の体育に武道が必修科目になる時代ですから、必要なことを加え形を整えようと検討することにし、年度内に成案を得ることを目標に作業を進めています。


  ただ検討の方向は、現行の在り方を変えようとするものでなく、何級まで設けるのか、審査の方法、受審資格の原則、受審料金などを各剣連において規則を定めて行うことを主な内容として、制度として全国的に位置付けることを目標にしています。

剣道初段取得者は前年と横ばい

  平成20年の剣道初段取得者数がまとまりましたが、年間の総数で前年より393名減の、41,131名ということで、まず横ばいと見られます。


  会計の区切りとなる年度の数字と違って、事務処理を年内に行ったか、年を越すかで剣連別の数字が動きますから、目安としての数字です。


  前年比増加した剣連が19、減少した剣連が28ですが、増加組では青森の500、宮城の400、神奈川の900、減少組では東京の900、福岡の500、埼玉の300、長野の200などがあります。少子化の波の中、大勢として横ばいとなっているのは、それぞれのご努力の結果と評価できるのではないでしょうか。

中学校剣道教育事例集近く完成

  平成24年度から、必修科目化される「武道」の各学校における教育の参考にするため、全剣連において取りまとめを急いでいた『教育事例集』は、関係委員のご努力によりほぼ完成し、近く一般にご披露できる予定です。

国武大卒業予定者に社会体育講習

  本年卒業予定の国際武道大の学生を対象とした社会体育指導員(初級)養成講習会が、1月16日から勝浦市の同大学において行われます。いわば特別クラスとして行うことになりますが、受講者は37名です。


  一部の講義は大学側で行い、他の講習の場合と同様の内容の科目をこなし、結果の評価に基づいて認定を行います。講習の始まった初期の頃、警視庁助教を対象に講習を行ったことがありますが、これに次ぐものと思います。新卒学生が、社会に出て指導の立場において資格を活用されることを念じます。

断  片

①『剣道指導要領』の販売好調
  昨年7月に販売されたこの資料なかなか好評で、初版5,000部に続いて増刷した3,000部もほとんど売り切れ、第三刷にとりかかります。
  1月一杯は割引価格で購入できますので是非指導用に活用してください。なお英語を手始めとしての外国語版の出版にも着手する予定です。


②ホームページの利用活況
  平成11年に立ち上げた全剣連ホームページの利用は、平成18年に532万件を記録した後、400万台に下がりましたが、昨年は回復し、アクセス数516万に戻りました。
  全日本剣道選手権大会特設頁などの新しい取り組みの結果の表れと見ています。

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