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平成24年03月号 第296回

(財)全日本剣道連盟 会長 武安義光

  日本列島の気象は至る所異常で、立春も過ぎたこの頃、顔を合わせれば「寒い冬ですね」の連発です。日本海側では近年に無い大雪で被害も報ぜられ心配です。昨年3月の震災の復興がなかなか捗らないうちに1年経ってしまうのですが、時々起こる余震らしき各地の地震と共に、災害後の非常時から抜け出せない日本です。例年この時期に花が咲き始める庭の白梅も、今年は音無しの構えです。

  目を海外に転じると、中近東や北アフリカ諸国での政情不安に加え、欧州のユーロ不安があり、勢いを失ったアメリカ経済の影響もあって、これまで考えられなかった円高に襲われた日本の貿易収支が何十年振りかに赤字に転じたことが報ぜられています。

  いずれも日本の国力の低下を加速するものであり、今後の対応が急務ですが、政界は内向きの問題に忙殺されるのみで、防衛問題を含め国の長期の方策への対応に懸念が感じられます。

  剣道界の立場に戻るならば、中学校体育の必修科目に武道が今年の4月から取り入れられることは、今後の人造りのための前進への大きな第一歩であると感じます。恐らくこの教育科目の改定は、現政権では実現できなかった、前政権の遺産ということができましょうが、敗戦による武道抑圧時代を経て、日本の独立回復から60年、全剣連発足して60年の今年であり、意義ある事と存じます。剣道界として、他の武道とも協調して今後成果を収めるよう努力していかなければなりません。現場ではこれからいろいろな問題が起こるでしょう。恐らくその対応に奔走することが何年か続くことを覚悟する必要がありましょう。多くの問題を克服して軌道に乗せて行きたいものです。

  さて以上のことは、剣道にとって虐げられていた占領時代からの施策から脱却することであり、それが全剣連設立60年と合致する意義ある年といえます。さらに「財団法人」であった全剣連が国の制度改革に対応し、新制度の「一般財団法人」として再出発する年ともなります。業務的に大きな変更はありませんが、占領から立ち上がり剣道の復興を行った60年前の考え方を見直して加えた所が定款の随所に織り込まれています。業務的に大きな変革はないにしても、全剣連の運営・経営としては新しい歴史に向かってスタートすることになり、60周年の記念行事として意味あることと存じます。


来年度事業計画の策定に向かって

  全剣連の事業はご承知の通り、年度ごとの事業計画に基づいて行われます。その策定には前年の暮れから本年度の実績を踏まえて検討が始められます。担当役員と共に各専門委員会において、事業改善のための必要事項を織り込み立案します。特別の予算措置を要するものは別途検討が行われます。

  専門委員会での検討を経た案は、事業調整連絡会議・常任理事会の審議を経て素案となり、剣道研究会・審議会に意見を求めた後、理事会・評議員会での審議を経て、全剣連の事業計画として決まります。

  各剣連との関連では毎年都道府県剣連専務理事・理事長会議を開催し、打合せを行っております。

   近年はこのような段取りで進める方式が定着しています。このところ全剣連の基本方針も固まり、毎年の計画に大きな変更はありません。しかし昔話というべきでしょうが、四半世紀前、筆者が全剣連に関係した当時は随分様子が変わっていました。当時は文書による事業計画は無く、行事日程表だけが会議に提案され、決定されていました。事務が簡単で済むという利点はありますが、法人としての運営方針や、行事以外の事項には、ノータッチであり、関係者用のメモとなる程度のものでした。届け出を受ける役所側の扱いも、これで足りていた様です。

   これを現在の方式に改めてきたのですが、行事の基になる事業実行の方針、それ以外の業務の内容、さらには剣道振興の方針など、一握りの関係者以外の一般の愛好者、さらに社会・国民に明らかにするためのものとして、短い文書ではありますが作成するようになったことをご承知願います。

   以上、長々と趣旨を述べましたが、その意図を3月に決まる事業計画から読み取って頂きたく存じます。

平成23年度全剣連専務理事・理事長会議
平成23年度全剣連専務理事・理事長会議

24年度の行事について―まず大会

  ここで来年度の行事を簡単に紹介します。設立60年の年ですが、記念祝賀会を計画している他は、10年ごとに締めくくりの出版を行うことが主で、大会などについては記念を謳った冠大会が主で、新企画は織り込まれていません。

  以下簡単に紹介します。日程と場所が毎年決まっているものは、4月15日(日)名古屋での全日本選抜剣道八段大会に始まり、4月29日(祝)大阪での全日本都道府県対抗剣道大会、5月の京都の全日本剣道演武大会と続き、夏の諸大会を経て、11月3日(祝)の全日本剣道選手権大会と続きます。

  持ち回り大会では、全日本東西対抗剣道大会は9月16日(日)に宮崎県、全日本杖道大会は10月14日(日)に広島県、全日本居合道大会は10月20日(土)に静岡県、8月の全国高等学校剣道大会は新潟市、全国教職員剣道大会は山形市、全国中学校剣道大会は埼玉県越谷市でそれぞれ行われます。そして国体剣道大会剣道大会は9月末日から岐阜県関市で開催されます。

  また今年は国際大会として、3年ごとの国際剣道連盟主催の世界剣道選手権大会が、5月25日(金)~27日(日)まで、北イタリア・ノヴァラ市で開催されます。この大会の事務局は全剣連が担当しますので、その運営を行うと共に日本としての男子・女子の選手団を派遣し必勝を期します。


主な審査会の日程は

  4月29日(祝)の六段審査から始まる剣道の審査日程は変わりません。杖道・居合道の八段、称号審査は演武大会会期中に、剣道称号は例年通り大会直後に行われます。剣道七・六段審査が例年通り大会後の5月12日(土)~13日(日)に名古屋市で行われます。

  夏の剣道段位審査は8月に六段審査を、東は長野県、西は岡山県で行いますが、従来東西交互に一カ所で行っていた剣道七段審査を、両会場で行うよう改め、多数の受審者の便宜を図りました。

  居合道は七・六段審査を、6月山梨・7月佐賀・11月東京で、杖道は同じく8月岡山・25年1月東京で行います。

  秋の剣道審査は例年通り、七・六段は11月17日(土)・18日(日)に名古屋市で先行し、11月26日(月)・27日(火)に日本武道館で行いますが、八段審査は28日(水)・29日(木)に本年と同じ綾瀬の東京武道館で行います。  


事業計画の中の中核に位置付けられる教育と講習

  各剣連の代表を招致して東西2カ所で年度のトップに行う、中央講習会が来年度は暦の関係で、1日前年度に食い込み、3月31日(土)から始まる形になりました。指導法などの講師要員研修会、剣道八段研修会などトップクラスの人材養成から、多彩な講習が年間を通じて展開されます。各剣連に講師を派遣して行う後援講習会も盛り沢山です。次号に掲載される予定の日程を御覧下さい。

  第15回世界剣道選手権大会に出場する選手団への強化訓練は、大会の直前まで行われますが、7月から次の第16回大会を目指す強化訓練がすでに組まれています。


社会体育指導員講習会―堅実に広まって展開

  寒中各種の講習会が展開していますが、平成7年に始まり順調に実績を固めて来た標記制度の講習に触れます。

  例年上級講習会は、年明けの年度末に、東西で行われます。今年の東日本での講習は2月3日(金)から3日間、例年と同じく、勝浦市の日本武道館研修センターで行われました。集まった講習生は62名、関東が主体ですが、東北8名、甲信越4名、遠来の九州から3名の参加がありました。年齢的には72歳を筆頭に60・50歳代が主体で段位は教士七段の方が半数、職業的には、会社員・公務員・自営業という順序でした。

  今年の房総海岸は気温が低い中、受講者は実技やテストの忙しい3日間を元気にこなされました。受講の皆さんの熱意に深謝し、また講師の方のご尽力に敬意を表させていただきます。

  またこの講習に並行して、資格取得後4年を経た、上級更新講習会が2日の日程で行われ、30名の方が参加されました。

  なお、西日本の上級講習は3月9日(金)、上級更新講習は10日(土)から滋賀県大津市の滋賀県立武道館で行われます。

  この制度で資格を取られた方の合計は、初級6,501名・中級2,153名・上級446名に上っています。制度が始まって17年、生涯剣道と専門で無い方々を主とした剣道人の指導力向上に厚みを加えており、これは他のスポーツに見られない所と思います。中学校体育の正課に武道が取り入れられた時期に当たり、これらの方々の力が活用されるよう、剣道界として努力が望まれています。


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