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平成22年08月号 第277回

(財)全日本剣道連盟会長  武安義光

  今年の梅雨は日本の西南部に、局地的豪雨をもたらしています。土砂崩れなどの災害が起こらぬことを祈念します。

  折しも南アフリカではサッカーの世界選手権大会が行われ、欧州勢優位のうちに進行し、スペインが初の優勝を飾りました。日本は決勝トーナメントにやっと進んだだけですが、予選リーグで接戦を演じたオランダが2位になった故か、評判が良いのは不思議なくらいです。

  一方、大相撲の関取仲間に野球賭博の醜聞があり、厳しい批判に晒されています。なまじ国技と言われているだけに風当たりも強かったのは当然でしょう。日本の文化に育まれ、本当の国技は当方であると考えている我々は、以て他山の石としなければなりません。

  さて梅雨明けも間近いことですが、学校関係を中心とした大会が集中するほか、強化訓練、段位審査と行事が続き、錬成の夏は本番になります。秋の大会も準備段階に入っており、執行部・事務局は多忙を極めています。

  7月11日(日)の参議院選挙の結果、与党が過半数を失いました。民主党政権の迷走、政治資金の不明朗などへの批判から見れば予想通りで、国民の判断はまあ、あまり狂っていなかったと思います。

  比例区の小坂憲治氏(長野県剣連会長・道場連盟会長)のご当選をお慶び申し上げます。


口火を切った全日本学生剣道選手権大会

  各地区の大会で上位を占めた176名の剣士により、学生の覇を競う第58回を数えるこの大会は、7月4日(日)日本武道館で行われました。準決勝に勝ち進んだ剣士は奇しくも東の國士舘大2名、西の鹿屋体育大2名となり、優勝戦はそれぞれの対戦を制した鹿屋体大・木谷洋亮と、國士舘大・石田雄二による決戦になりました。一本を争う接戦が続きましたが、延長に入り、木谷が突きを決めて決着しました。一本を争う大舞台でなかなか出せない技ですが見事でした。7年前の英国グラスゴーでの世界剣道選手権大会・男子団体決勝戦で、日韓が同点代表戦となった際、栄花直輝選手が決めた突きを思い出させる技でした。

  トーナメントのお終いの方を観戦した印象ですが、試合内容は堅実、充実した内容だったと思います。ただ型にはまった選手が多く、個性ある抜き出た選手が見えなかったのが少し物足りない感じでした。ベスト4が剣道専修の選手だけで争われる展開になったのは珍しいことで、一般大学剣士の奮起を期待します。注目すべきは、ベスト16の中に、全剣連の行っている若手剣士に対する選抜特別訓練講習会、いわゆる骨太剣士養成訓練への参加者が6名いる事です。この中で準優勝の石田選手は、高校時代に第1回訓練に参加しています。この研修プログラムは、試合に強い剣士を養成することを目指しませんが、大きな試合で好成績を収める剣士が出てきてくれることは当然といえましょう。

  これらの剣士を含め、学生剣士が成長してくれることを念じます。

  さてこの大会の前日女子学生の選手権大会が同じ会場で行われました。決勝戦は鹿屋体大・橋本 恵と、国士舘大・佐藤亜美の対戦の末、橋本選手が優勝を飾り、鹿屋体大がダブル優勝を果たしました。

16分47秒にわたった学生大会決勝戦
16分47秒にわたった学生大会決勝戦

東北・北海道対抗剣道大会の機会に同地区剣連会長会同開催

  東北、北海道において交互に主催され続けられている対抗試合は、第53回を迎え、本年は7月11日(日)に、札幌市道立総合体育センターで開催されました。この大会昭和32年に始まる長い歴史を持ち、日本で他に例を見ない地域の対抗戦として、両地区の剣道の振興に役割を果たしてきました。

  対戦成績は近年は北海道が優位を保っており、今回も個人優勝戦、女子対抗で北海道が勝ちましたが、メインの30名の対抗戦では大将同士の決勝で東北軍が雪辱しました。

  どうかこの大会、前陣の若手が長老になる100回に至るまで充実した内容で、地域剣道を盛んにする大会として続いて貰いたいと感じました。

  ここでお知らせするのは、全剣連として日頃お会いすることが少ない各地方の剣連会長との会同を行う機会としたことです。この会同、関東地区では毎年開催し、関西地区でも、奈良市で開催される中堅剣士講習会の機会に大阪市で毎年続けています。その他の地区についてはなかなか毎年は難しいのですが、本年は九州地区会同を、全日本東西対抗剣道大会が行われる佐賀市において、開催する予定です。

  さて今回の会同は大会の前日、1道6県の代表の出席をえて開催し、少子化、中学校体育への武道必修化、法人新制度への対応などについて、現状説明、意見交換を行い、有益な会同となりました。

東北・北海道対抗剣道大会開会式で両軍監督に花束の贈呈
東北・北海道対抗剣道大会開会式で両軍監督に花束の贈呈
東北・北海道県連会長との会同風景
東北・北海道県連会長との会同風景

剣道の恩恵を広げる矯正管区少年剣道大会

  恵まれた環境の中でも、剣道の修錬が進みにくい世の中で、制限の多い社会の中、剣道を奨励し人間形成に役立たせようとしている場があります。

  その例は矯正施設における剣道の訓練です。法務省東京矯正管区主催の管内剣道大会が7月8日(木)、八王子市民体育館で開かれた機会に参上しました。この大会は「日立みらい財団」と共催で毎年開かれ、すでに35回を数えています。

  今回の参加は13チーム、5人1組で、予選リーグを経てトーナメントにより優勝を決める大会です。練習は普通週1回ですが、大会の前には回数をふやして強化を計るとのことでした。選手の立ち合いには落ち着きがあり、元気溌剌、活発な試合が展開されます。技術水準はともかく、好感が持てる試合ぶりで、指導に当たった方々お骨折りが実を結んでいると感じました。

  日常の行動に制約のある選手を養成し大会を開くには、部外の者には分からないご苦労も多いかと思いますが、剣道を通じての人間教育に効果を挙げている様子が伺われます。

  聞けば級位の取得には都剣連が便宜を計って頂いているとのことです。日の当たらない分野にも、剣道の恩恵を及ぼすようお互い努力しようではありませんか。


旧制高専剣道大会35年の幕を閉じる

  戦前の学校教育は、義務教育の小学校を卒業して進む中学校(男子)、女学校(女子)、実業学校などの上に、中学校四年または五年を終了して進む高等学校・専門学校へのコースがありました。

  専門学校は卒業後社会に出ますが、高等学校や大学予科は卒業後、さらに帝国大学その他の大学に進みます。

  年齢的には、現在の高校の上級から、大学の教養過程の生徒程度になります。この年代は青年としての成長期にあり、運動も活発に行われ、剣道はとくに盛んで、レベルも高かったものです。

  戦後の学制改革により無くなった旧高専校で行われていた剣道大会をOBが集まって復活し、剣を交えて旧交を暖めようということで始めたのが、旧制高専剣道大会です。

  世の中も落ち着き、剣道も盛んになった昭和50年に各学校のOB有志が相談し5月25日(土)に第1回大会を開く運びとなりました。チームは3人1組で行うことにし、各校2チームまで出られることにしました。会場は虎の門の日本鉱業体育館を拝借し、個人試合も行いましたが、メインのトーナメントには参加校13、18チームが参加し、昔の学校の名で覇を争い、第四高校(金沢)が優勝しました。

  戦後30年の時で、参加剣士の年齢は50歳代が中心。この大会は大方の賛同を得て、参加者も増加、40チーム参加の年もありました。懇親会で大いに気勢を上げ、往年の友情を呼び起こし、剣道の振興にも効果を上げました。

  こうして回を重ねて35回に至りましたが、高齢化も進み団体戦への参加が5チームとなった昨年をもって打ち止めといたし、本年6月12日(土)に解散の催しを行い幕を引きました。

  全剣連の行事でなく有志による運営で行ってきましたが、意義のある催しであったと思い、取り敢えず紹介させて頂きました。この記事次号に続けます。         

  (写真はいずれも筆者写す)


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