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平成21年08月号 第265回

(財)全日本剣道連盟会長  武安義光

  何やらだらだらとした感じの梅雨も明けようとしています。

  夏休みにつぎつぎと展開される若しい剣士が競う学校関係の大会は、すでに大阪での全日本学生個人選手権大会、東京での教育系大学学生大会を皮切りにはじまっておりますが、これからの大会どのような白熱戦が展開されるか期待されます。

  地球の反対側のフラジル・サンパウロで開かれる世界剣道選手権大会も間近になってきました。選手たちは最後の仕上げに取り組んでいますが、実力をフルに発揮してくれることを期待します。

  九段坂上の靖国神社では、「みたま祭」の時期を迎えます。不況で苦しむ各地の経済情勢の中ですが、戦後60余年続いた平和の中、戦火に散った多くの英霊の御霊に想を寄せたいものです。

  全剣連は役員の分担も決まり、業務発展に取り組みます。


第1回都道府県対抗女子剣道優勝大会に期待

  衣替えしてスタートする表記大会も目前に迫り、準備万端整って日本武道館で18日に開催されます。

  新たに参加する、高校生・大学生たちのフレッシュな試合ぶりに特に注目しましょう。また先頃決まった世界選手権大会への出場選手のうち5名がこの大会でも力を見せてくれると期待します。

  大会の優勝旗も、共催の読売新聞社、後援の日本武道館のご協力も得て、立派なものができました。金糸で織り込まれた全剣連のマークが一際目立ちます。

  また4月の男子大会の優勝者に授与される優勝兜に相当する、銀製の優勝扇が用意されました。この扇の作者は岡島延峰氏です。中央には全剣連マークが彫込まれています。女子剣道界に新風を送って貰えるものと期待が高まります。

  この旗と扇、これを初めて獲得するのは、どこの剣連でしょうか。多くの方が観戦、応援に来て頂くことを願っています。

銀製の優勝扇と真紅の優勝旗
銀製の優勝扇と真紅の優勝旗

全剣連の新しい役員、担当決まる

  6月に選任された理事による新理事会を7月7日に開催し、まず会長以下の三役、常任理事を互選しました。

  2年前の人事で新しく就任された方も多く、それぞれ仕事に取り組んで、軌道に乗ってきていること、8月の世界剣道選手権大会の関係者は現行の担当で進むことが必要でもありますので、大方の分野で現行体制で進む人事になりました。

  ただ世界大会終了後に、政界でいう改造を一部行うことを予定している人事もあります。そこで常任理事の新任は2名に止どまっています。

  会長、加賀谷副会長、福本専務理事は留任します。退任された大久保副会長の後任は秋の改造人事を待ちます。全剣連の事業は、3月に決定された21年度事業計画に則って進められますので、役員が一部代わっても、基本的に方針変更はありませんが一部組み替えを行いました。


指導業務充実のための体制を整備

  普及関係の仕事の量も考慮して、重点である指導力向上をさらに質的にも進めるため、指導に関する業務を普及から独立させることにし、田口常任理事に担当して頂き、新設の指導委員会の委員長もお願いしました。

  また中学校の体育授業への武道の必修化に対応する準備をさらに充実させるために、普及委員会の中に学校教育部会を新設し、委員長に新任の小久保常任理事を委嘱しました。

  この他の担当、体制はこれまでを踏襲しますが、杖道については、委員長を波止審議員に委嘱し、担当理事は椎屋理事待遇参与にお願いしました。居合道も委員長はこれまでどおり岸本審議員とし、担当理事は河口理事待遇参与とし、理事会との意思疎通をスムーズにします。

  これら以外の理事の担当は、委員会の専門委員とともに、検討を行い、秋口に決定する予定ですが、専門委員は少数精鋭を目指し、人員を絞る予定です。

  また横断的に現業関係の事業の連絡調整を図る「事業調整連絡会議」は松永理事が議長として活動を始め、将来に亙って息の長い問題を研究する「長期構想企画会議」は引き続き加賀谷副会長が担当されます。

  さて今回の人事のうち、顧問、参与、審議員、相談役については、会長が理事会、評議員会に諮って委嘱するよう寄付行為で定められています。今回の理事会で了承を得た案をさらに評議員会に諮る手続きをとった後に発令ということになります。

  今回理事会に諮って内定した案を一部ご披露しておきます。審議員は2人の方を除き再委嘱し、新たに小林三留、佐藤成明、水野仁の三範士を予定し、相談役には奥園國義、児島克のお2人を内定しました。


新しい法人体制への移行を目指す

  最後になりましたが、本年を新しい法人への移行に取り組む年にしたいと思います。

  現在の財団法人としての全剣連の性格は、国で定めた公益法人制度に準拠して、昨年暮れから5年以内に新制度に移行できるよう手続きを進める必要があります。

  ぐづぐづしていると日が経つばかりですし、この際検討を進めて速やかに移行の案を作りたいと思います。この問題は全剣連たけでなく都道府県剣連、関係団体にも関係してくる事項であり、学識者、地方剣連の代表も含めたこのための委員会を設け、構想を固めることにします。

  以上のようなことで、気分一新して、事業に取り組んでいきます。これまでにお骨折り頂いた方には感謝致しますとともに、今後の前進にご協力頂き、剣道界の発展を応援して頂きたく存じます。


全剣連の指導力向上のための事業順調に進む

  経営面の仕事に全剣連は追われてきた時期ですが、つぎつぎと行われる講習事業は順調に進んでいます。

  剣道では講師要員(試合・審判)講習会(6月27-28日、勝浦市)、社会体育指導員・中級(7月3-5日、勝浦市)。

  居合道は居合道地区講習会(7月11-12日、高知市)前日に六・七段審査会、また杖道は6月20-21日に勝浦市で中央講習会が行われています。

  また各剣連に講師を派遣して行う、後援講習会もつぎつぎと行われていることをご報告致します。


憲法学者の剣道人砂田卓士さん逝去される

  学生剣道界の長老砂田さん7月7日に亡くなられました。

  砂田さんは戦前派の剣道人で、専修大学ご出身。法学を修めて同大学教授になられ、法学部長も務められ、日本学術会議会員にもなられました。剣道界に少ない学者剣道人でした。

  全剣連の仕事には、総務、国際の分野でご尽力頂き、とかく剣道の活動だけに偏りがちの全剣連を補強して頂きました。昭和62年に制定された「全剣連登録者規定」は砂田さんのお骨折りによって出来たものです。

  国際関係では平成6年のパリにおける世界剣道選手権大会に、日本から女子剣道使節団を派遣し、彩りを添えました。当時は女子剣道は海外で普及しておらず、正式種目になっていない時期で、日本から15名の使節団を派遣して大会で親善試合を行い、成功を収めました。その団長には砂田さんを煩わし、お骨折り頂きました。その時の印象を、砂田さんは「15人の娘、孫娘に囲まれて」という題で「剣窓」に記しておられますが、ご苦労をお掛けしたと思っています。

  文武両道の人生の達人砂田さんのご逝去を悼み、ご冥福をお祈りする次第です。


断 片 全剣連マークの由来

  15年前の平成6年に制定された全剣連マークですが、新しいマークを作ろうとする構想は、平成4年の全剣連設立40周年の行事を検討している際に生まれたと思います。その後検討を経て平成6年に実現したものです。

  すでに表彰状、段位・称号の証書に利用され、また連盟旗、女子剣道選手権者への優勝旗、称号バッジなどに公式のマークとして使用されて、お馴染みになっています。

  ところで今回先に記しました、新しく始まる都道府県対抗女子剣道優勝大会のための優勝旗、優勝扇の真ん中に表示されているものをみると、立派で座りも良いし、全体を引き立てているので、なかなかよいマークと見直した次第です。

  これは多少金もかけていることにもよるのでしょうが、その由来をここで思い出すのも意義があろうと、当時の「剣窓」により説明しておきます。

  まず基本図案は当時文化庁に居られ正倉院御物に詳しい柳雄太郎氏(元東大剣道部主将)に提案頂き、製作側の造幣庁工芸指導員、辻尭介氏と打ち合わせを重ねて実現したものです。

  耳部は三種の神器の一つである八咫(やた)の鏡がモデルです。

  内置部の竜は、正倉院御物の一つである白銅八角鏡に描かれている双竜がモデルです。

  刀剣は仙台・伊達家伝来の衛府太刀がモデル。

  中央の剣という文字は、正倉院御物として、聖武天皇の御物を献上する際の目録に記された文字をモデルにしています。

    以上平成6年11月号の「剣窓」の記事を再録しました。

全剣連マーク

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