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年頭所感

財団法人全日本剣道連盟会長
武安義光
  明けましておめでとうございます。剣友の皆さんがそれぞれ良い新年を迎えられ、充実した生活の年を過ごされることを祈念します。


  この年は、経済の面では引き続き順調な年であることが予想され、国内政治では安倍新内閣のお手並みに期待される年であり、まずは安定した年となることでしょう。しかし、社会的には凶悪犯罪が後を絶たず、民心も道義的など心配される状況にあり、学校教育の立て直しに関心が集まっております。この中、60年前の占領期に作られた教育基本法の改正が実現しましたが、教育面の改革の成果を挙げていくためには、多くの課題に取り組む必要があります。


  このような状況は、剣道界に取っては追い風になってきたと受け取って良いものと思います。日本人が精神的にも、肉体的にもしっかりしたものになって行くための、剣道の役割が期待される時であり、お互い自信を持って取り組んで行きたいと思います。


  さて全剣連としては剣道の振興を図るに当たり、つぎの方策を掲げ目標として努力してきました。それはまず「指導・教育を通じてレベルの高い剣道を育てること」「普及を進めると共に愛好者を増やす努力を高めること」を挙げ、さらに「社会における剣道への理解を深めるための活動を強化すること」であります。全剣連は、その目標達成のための基盤になる事業を取り上げ、逐次進めて参りました。普及、発達を図るための柱として取り上げてきた事業については、幸い成果を得る段階に来たものと考えています。


  いくつかの例を上げましょう。

  講習事業の充実を図るための教材の刷新をまず行いました。また各地域への講習を充実するための計画と実施を、各剣連が立案・実施し、全剣連はこれを援助する方向に軸足の重心を移しました。剣連により実行への取り組みに差が出ましょうが、全国的に見て逐次成果が上がるものと期待しております。例えば学校剣連で、全剣連の補助を得て中・高の先生の講習をブロック単位で重点的に進めるようになりました。


  指導者の育成として審判講習の講師要員の講習認定を行って来ましたがトップを担う講師が充実し、各地で活躍しつつあります。


  また初心者への教育に資するために「木刀による剣道基本技稽古法」を策定し普及を進めています。指導者の能力向上のために取り上げて10年を経た社会体育指導員認定講習は、昨年度に上級講習を行う段階に達しました。この間、講習を受け、初・中級資格を取られた方は5千名に及んでいます。これらの方が全国各地で活動され、剣道普及の一翼を担っていくことが期待されます。


  さて剣道人の向上への意欲をかきたてる称号・段位の付与のための審査は、新規則に基づき進められ向上、定着しつつありますが、地方剣連に委任している五段以下の審査について実態把握を行い、これに基づく助言・指導を行って、向上の成果が上がりつつあります。


  さらに全体の指導理念の具体的指針とすべく、「剣道指導の心構え」の立案を進めて来ましたが、ようやく成案を得る段階に至りました。


  これらの事業は、全剣連執行部また関係された多くの方々の協力努力により進められてきました。大事なことはこれらのことが、各地の現場に及ぶことにより、剣道の質が高まり、愛好者の輪が広がって行かなければなりません。道具立て、基盤強化については、全剣連は努力を続けますが、新しい年は、良い意味の普及・発展が、全国の現場で行われ、浸透の実績を収める年としたいものです。このためには挑戦すべき多くの壁があります。高校授業における剣道の教育の場が弱体化しているとされる実態は、その一例と言えましょう。多くの壁を破るために各層の剣道関係者はそれぞれ努力して成果をあげ剣道の発展、社会への貢献を致したいものです。


  剣道界は今年日本が独立を回復し、それまで弾圧されていた剣道の新しい体制がスタートして55年を迎えます。今年は1つの節目の年であり、占領下の困難な状況の中、剣道を温存し、その後の回復・発展を成し遂げられた先人の努力に思いを致し、今後の発展への決意を固めたいものです。猪突でない猛進を行う飛躍の年とするため頑張りましょう。

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