公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

審査会

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剣道七段審査会(長野)

開催日:
2012年08月18日(土)
会場名:
長野市真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)
受審者数 合格者数 合格率 形再受審
902 128 14.2% 2

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審査員の寸評(実技)

 長野市で行われました、七段・六段審査を担当し、若干の考察を述べたいと思います。

剣道で目指すことは、有効打突に至る経過、剣の理法の追求です。剣の理法とは剣理、剣法のことで、剣理とは打突の合理性、剣法とは刀法です。剣の理法の追求とは、身構え・気構え、攻め、機会、間合い、技、刀法、打突、残心。この一連の有効打突に至る理法の一つ一つに精通し、技に熟達することです。理法に精通し、技に熟達するには、練りに練った、鍛えに鍛えた身魂の限界に至る鍛錬をしなければならないと思います。

 私の恩師は、「辛い苦しいと思うその時が、修業の関門に入った」と言い、「それを突破してこそ、ほんとうの修業です」と教えました。よく審査前になりますと形ばかりに囚われた稽古を見かけます。剣道は理法を含む一連の打突動作の熟達です。形に囚われた稽古は対処的な稽古に過ぎないと思います。鍛錬の根本は切り返し、打ち込み、掛り稽古といった、一心不乱の身体を使いこなした無我の稽古ではないでしょうか。これがまた技癖や悪癖を除去する要諦かと思います。鍛錬は辛く苦しいものです。年齢的なこと、稽古環境のこと、様々な障壁があると思いますが、それを克服することが、結果、昇段への近道になるのではないでしょうか。参考ですが運動生理学の知見によりますと、技術習得には同じ動作を30万回繰り返こととされています。医療のリハビリ訓練と同じです。1日千回、約1年で30万回となります。

 最後に、多くの女性が七段を受審していますが、合格は極めて難しい状況にあります。女性は女性特有の拍子や、体の柔らかさを活かした体捌きや、力に頼らない理法に基づく巧緻性の高い修錬方法を考究することも重要ではないでしょうか。それが自然で理に適っているように思います。

 以上、不足ではありますが今後の修業の参考にしていただければ幸いです。

金木  悟

審査員の寸評(剣道形)

長野県における審査会での剣道形担当者として感じたことを述べさせていただきます。

 剣道形は定められた約束と順序に従って動作をして、常に真剣勝負の気構えで修錬することが大切であり、僅か十本に過ぎないけれども、これを活用すれば実際の稽古・試合にも応用できるといわれています。「形は稽古の如く、稽古は形の如く」という教えの通り絶えず形と稽古を併せて修錬することが大切であります。

 今回の形の審査で特に気付いた点を述べます。
①太刀の五つの構えが正しくできていない。
②物打で打突部を正確に打突していない。
③太刀の形「機を見て」、小太刀の形「入身になろうとするところ」を理解し、その理合を弁えて、間合、緩急強弱、一拍子の打突等を心掛けて欲しい。
④太刀の形三本目、水月を正しく突いていない。四本目の切結ぶ位置が高い。
⑤小太刀の「半身の構え」と入身・鎬の使い方が不充分。

 これらの項目を今後の課題として更なる研鑽を重ねて、一本、一本それぞれの形の意義、理合を探求して、礼法、姿勢、呼吸、体さばき、目付け、攻防の理合、気の錬り、残心、気位等に気を配って剣道の内容を一層向上させるよう修錬していただきたいと思います。

 最後に今一度『日本剣道形解説書』、『講習会資料』を熟読、理解し、内容の充実した形の習得に努めていただき、剣道形を正しく伝承されるよう一層のご精進をお祈りいたします。

太田 友康
*この記事は、月刊「剣窓」2012年10月号の記事を再掲載しています。

行事概要

行事名
剣道七段審査会(長野)
開催日
2012年08月18日(土)
会場名
長野市真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)
長野県長野市真島町真島2268-1
川中島バス・ JR長野駅西口~ホワイトリング行き 約30分 「ホワイトリング」下車・ JR長野駅西口~金井山経由松代行き 約30分「本道」下車 徒歩3分タクシー・ JR長野駅東口から約20分
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